(8) 戦後復興期の「公営住宅」「社宅」建設 ~作品編①~

かわらばん2021年12月号

福井市は、戦災・震災からの復興を目指し、まず市民の暮らしに最も重要な「市営住宅」建設に着手した。当初の木造平屋建1戸の間取りは、公営住宅の基本となった51C型(食寝分離・就寝分離:2DK)を参考に、6畳・4畳半の2間と台所(DK)等の40㎡前後で計画されたものの、徐々にRC造2階建へ進展した。また「県営住宅」では、1952年に県下初のRC造4階建が51KC型(寒冷地型)を基に竣工し、屋上には物干場や子供遊場も設置された。さらに「県営町屋団地15号館」(1972)は、建築家・市浦健の考案に基づくもので、その特徴的なY型平面形状からスターハウス(星型住宅)と呼ばれて親しまれた。こうして公営住宅の建設を推進した官庁技師たち、県の担当課長佐田強・河野務道・宇野喜之ら、市の担当課長竹内隆・上田正男らを忘れてはならない。そのほか、民間の社宅として「福井精錬アパート(1956)」(伊藤建築事務所)、「松文産業社宅(1960)」(アルス建築事務所)等があり、戦後復興の一翼を担った。(廣瀬)

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